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コーチングのコツ(2)
(4)自己管理のスキル

自己管理のスキルとは、上司が部下をコーチングする際、「どういう態度で臨むか」ということについての技術である。
では上司は自分の「何」を管理するということなのだろうか?
これには大きく分けて3つのポイントがある。

1) 自分の頭を管理する
2) 自分の心を管理する
3) 自分の身体を管理する


では、何のために上司は自分を管理する必要があるのだろうか?
それは傾聴のスキルの「3つ目のレベル」、すなわち「部下の話を心で聴く」ためである。

部下の話を心で聴くためには、上司はその部下のために100%「その場にいる」必要がある。
「その場にいる」というのは、単に上司が物理的に部下の目の前にいるということではなく、部下が自らの中にある答えを見つけるのをサポートするために、上司が自らの頭と心と身体を提供する準備を整えている状態を意味する。


1) 自分の頭を管理する

ここで「頭」とは、上司が部下をコーチングする時の「思考」の状態を指す。
「直観のスキル」で「上司は考えてはいけない」と述べた。
しかし、実際には、部下をコーチングしている間、上司の頭の中にはいろいろな考えが浮かんでは消えていくのが普通であり、一切何も考えないというのは不可能に近い。

では、上司が部下をコーチングしている時に、もしも「考えて」しまった場合はどうしたらよいのだろうか?そこで必要となってくるのが「自分の頭を管理する」ということである。

自分の頭を管理するためには、2つのステップを踏む必要がある。

最初のステップが「気づく」ということ。そして次のステップは「手放す」ということ。
最初の「気づく」というステップだが、これは上司が部下の話を聞いているときに何か頭に浮かんでくる考えがあったら、それを「言葉」として客観的にとらえるということである。

自分の頭に浮かんだ言葉に気づいたら、今度はそれを「手放す」。手放すとは、その言葉にとらわれない、あるいはこだわらないということである。

このように、部下の話を聞きながら、頭の中に考えが浮かんでくるのを感じたら、あせらずに「気づいたら手放す」というステップを繰り返す。
これができるようになると、上司はますます楽に部下の話を心で聴けるようになるはずである。



2) 自分の心を管理する

ここで「心」とは、上司が部下をコーチングする時の「感情」の状態を指す。
上司も人間なので、機嫌がいいときもあれば悪いときもある。
しかし、部下をコーチングする際にこうした感情を一緒に持ち込んでしまうと、部下のために100%「その場にいる」ことが難しくなる。

では、上司が感情的になっていて、まともに部下の話が聞けない時はどうしたらいいのだろうか?

これには二通りの場合が考えられる。
1つは、事前に部下と話をすることが分かっているような場合、もう1つは部下にふいに声をかけられたような場合である。
前者の場合は、まずその話し合いに臨む前に、自分で自分の感情を処理するという方法がある。
たとえば、何か不安の種があってイライラしているのであれば、その不安の種をあらかじめ取り除いておく必要がある。

後者のようにふいに部下に声をかけられたような場合は、時間を改めてもらうよう依頼するか、それができなければ正直に自分の心境を部下に伝えた上で話に入るということが考えられる。

上司が感情的になると、えてして操作主義的になりがちである。それは上司の意識の矢印が自分の方を向いた状態になるからである。
この状態から脱するために必要なのは、上司が自らの感情を無視したり抑圧したりすることではなく、適切な方法でその感情を処理することである。そして、それが「自分の心を管理する」ということなのである。



3)自分の身体を管理する

部下が上司であるあなたに話を聞いてもらっていると感じるためには、あなたはどういう体勢をとる必要があるだろうか?
これには3つのポイントがある。

(1) 身体の向き
(2) 身体の高さ
(3) 身体の角度

まず、部下があなたに話を聞いてもらっていると感じるためには、あなたは自分の身体と顔をその部下の方に向ける必要がある。
次に、部下があなたに話を聞いてもらっていると感じるためには、あなたは自分の身体と顔の高さをその部下と同じくらいにする必要がある。(目線を合わせる)

そして最後に、部下があなたに話を聞いてもらっていると感じるためには、あなたは自分の身体を部下のほうに傾ける必要がある。(前傾姿勢)
もし、あなたがふんぞり返って部下の話を聞いていたら、部下はどう思うだろうか?

身体の管理に含まれる他の要素としては、上司の「表情」があげられる。ことさらに「にこやかな表情」を装う必要はない。ごく「自然な」表情が一番いいと思われる。

もう1つ大事なのは「視線」である。
前述した体勢の各ポイントを全て押さえたとしても、視線がふらふらと定まらずにいたら、部下は話を聞いてもらっていないと感じてしまうだろう。
そうかといって部下を「凝視」しては、かえって部下は話しづらいものである。
ここで大切なのは「温かな眼差し」である。上司が部下を本当に信頼していれば、その眼差しも自然に温かくなる。そして、それは部下にも伝わり、話のしやすさに影響を与える。


4)自分の時間を管理する

ここで言う「時間」とは、上司が部下の話を心で聴くために「時間をとる」ことを指している。
また、ここで問題となるのは、時間の「長さ」よりも、むしろ時間の「質」である。

いくらたくさん時間をとっても、その間、上司がずっと自分のために部下の話を聞いていたとしたら、それはまったく時間をとっていないのと同じか、場合によってはその時間自体を取らない方がよかったということにもなりかねない。

たとえ5分という短い時間でもいいから、「この時間はとにかく部下のために話を聴くぞ」と決めて部下との話に臨んだ方が圧倒的に密度の濃いコーチングができる。




(5)確認のスキル

「確認のスキル」とは、上司が部下をコーチングする際、「部下にとって大事なことを確認する」ための技術である。
では、「大事なこと」とはどういうことを指すのだろうか?
これには3つのポイントが3つある。

1) 部下の未来を確認する
2) 部下の現在を確認する
3) 部下の過去を確認する


「確認のスキル」とは部下の未来や現在や過去について確認すると同時に、部下及びその部下の可能性を「確かに認める」ための技術でもある。

なぜ、このスキルが大事になるかと言うと、人間は往々にして自分で自分のことを認めることができないからである。

ある部下が自らの可能性を信じられないとばかりに、それを最大限に発揮することができなければ、その部下はもちろんだが、周りにいる人たちも多くのものを失うことになる。

まず上司であるあなたが部下一人ひとりの可能性を信じるところから始めてほしい。
そうすることが、最終的に、部下が持つ無限の可能性を「守る」ことになる。

1) 部下の未来を確認する

ここで「未来」とは、具体的にどういうことを指すのであろうか?
それは旅にたとえるなら、「目的地」ということになる。

つまり、その部下がどこへ行こうとしているのか、ということである。

目的地の代表的なものは「目標」だが、未来にはもっと広く部下の「ビジョン」とか「夢」といったものも含まれる。
ただ、大切なことは、上司が確認する目標やビジョンは部下本人の中から出てきたものであって、決して上司が「上から与えた」ものではないということである。

部下は日々の雑務に追われるうちに、目標のことが部下の頭の中から薄れてしまったり、ちょっとした失敗をしたことでその目標を達成する自信を失ってしまったりするということがよくある。

そんな時、上司が果たしうる役割とはどのようなことであろうか?

それは、部下自身が立てた目標を部下が忘れそうになったら、それを思い出させてあげたり、自信を失って立ち止まっていたら励ましてあげたりすることである。

ちなみに「励ます」というのは、よくある「がんばれ!」という励ましのことではない。
それは、その目標を達成することがどんなにその部下にとって大事なことなのか、あるいはそれを達成した時に感じる喜びはどのようなものかといったことを思い出させてあげることを意味している。

そして、思い出させてあげる時には、できるだけ「質問のスキル」を使って、部下が自分でそのことを思い出せるようにサポートするのが望ましいと言える。

たとえば、「その目標を達成するのは、君にとってどれほど大切なことなの?」とか、「その目標を達成したら、君はどんなふうに感じるだろうね?」といった具合である。

上司が部下の可能性を信じ、部下自身が望む未来をつねに確認してあげることで、部下は自らの目指す目的地を見失うことなく、前に進むことができる。


2) 部下の現在を確認する

ここで「現在」とは、具体的にどういうことを指すのか?
それは、その部下が今どういう状況に置かれているのか、ということである。

日々の忙しさや感情の浮き沈みに振り回されるうちに、部下は自ら立てた目標やビジョンを目指す旅の中で自分がいったい今、どのあたりにいるのかを往々にして見失ってしまいがちである。

これは言い換えれば「客観性を失う」ということでもある。

そんな時、上司が「君は今、例の目標に対してどの辺まで来ているんだい?」とか「このプロジェクトに対する、君の現在の満足度を十段階評価で表すとどれくらいなのかな?」といった問いを投げかけてあげれば、部下は自らの置かれている状況をかなり客観的に把握できるようになるだろう。


現在地を確認するということに関しては、実はもう1つ大事な要素がある。それは部下の「価値観」である。

価値観とは、その人がどういったことに価値を置いているかということだが、この価値観を確認することが部下の可能性を最大限に引き出す上で大きな役割を果たすのである。

私たちが決断や選択を行う上で私たちが基準にしているものは何であろうか?
この基準にはいくつかあるが、その中心的なものが価値観である。

部下が目的地をめざす旅の過程においても、決断や選択をしなければならない場面が数多く出てくる。
そして、その中にはどんな選択肢を選んだらいいのか部下自身にも分からないこともあるだろう。

そんな時、上司が「君の価値観に照らして考えてみた時、どの選択肢が一番いいと思うんだね?」と確認してあげれば、部下は自らの選択基準を思い出し、今、どの選択肢を選ぶことが自分にとって大切なのかを知ることができるだろう。

 
3)部下の過去を確認する

ここで「過去」とは、具体的にどういうことを指すのであろうか?
それは、これまで部下がどういう道のりをたどってきたのか、ということである。

その道のりの中でも、この「確認のスキル」において特に重要となるのは、部下の過去における「成功体験」である。

どんな人でも、よくよく振り返れば、自分では失敗ばかりしているように思っていても、必ず1つか2つくらいは成功体験を持っているものである。
しかし、自分で自分のことを認められないばかりに、その成功体験を過小評価し、逆に失敗ばかりを過大評価してしまう人が意外に多い。

ある人が何かに成功する時というのは、たいていその人が本来持っている能力や可能性を最大限に発揮した時である。
したがって、その人の成功体験を確認するということは、とりもなおさず、その人が本来持っている能力や可能性をその人自身が思い出せるようにサポートすることを意味している。

最後に、ここで「部下の過去を確認する」というのは、部下の意識の矢印を過去に向けるためでなく、あくまでも部下が目指す未来に向かって着実に進んでいけるようにサポートするためであるということだ。


3.コーチングプロセスを実践する

支援的コーチングの基本モデル


1. ラポール(信頼・心のかけ橋)づくり

2. 話し合いのきっかけ・合意をえる

3. 現在の状況の探索

4. 問題の確認・望ましい状態の確認

5. 課題の設定

6. 課題達成行動の策定

7. プラン実行の確認と合意・勇気づけ

8. 事後評価




(1)ラポールづくり

最初に「〜はとてもよかったよ」「●●君には〜を期待しているよ」というように相手に関心がある、注目しているということを伝えます。これをストロークと言います。


(2)話し合いのきっかけ・合意づくり

「仕事の調子はどう?」「最近、ちょっと残業が多くない?」というふうに話のきっかけを作ります。
その後「〜の件について、○時○分まで時間があるから15分ほど話を聞かせてくれないかな。」というように時間を限定して、相手の合意を必ずとってください。


(3)現在の状況の探索

現在の状態に関する事実情報を収集します。「今、どんな状態?」「点数にすると、100点満点で何点ぐらい?」「何パーセントくらいの満足度?」というように質問していきます。


(4)問題の確認・望ましい状態の確認

「今、あえて問題があるとすればどんなこと?」「このままでいくとどうなる?」というように問題を確認する際には、どこまでも受容的、共感的に聞いてください。

(5)課題の設定

課題の設定は、相手が主体的に関わるようにしてください。
質問の方向もそのことを意識して行います。
「どうすれば、問題は解決できる?」「問題解決のために、君がすべきことは何かな?」
このとき、「私に手伝えることってあるかな?」というようにサポートできることがあるか、聞いてみるのもいいでしょう。


(6)課題達成行動の策定

課題が明らかになったら、具体的に課題を達成するためには、どう行動するか、アクションプランを作ってもらいます。(5W1Hを明確にする。)
「課題を達成するためには、どんな方法がある?」「考えられる障害は?どのように対処するの?」といった質問をしていきます。

(7)プラン実行の確認と合意・勇気づけ

「支払うべき代償は?それでも実行する?」「このプランなら実現可能と思えるよ」「いい話し合いができて、いい方向が見つかって嬉しいよ」といった言葉になります。


(8)事後評価

プラン実行の評価を行います。
「やってみてどうだった?」「何パーセントくらい達成できた?」「どんな変化、改善があった?」などを話し合います。

4.フィードバックスキルを身につける
指示に関しては「フィードバック」が有効になります。

フィードバックの目的は3つあります。

(1) 動機付け・強化のためのフィードバック(いい状態を維持、強化する)
(2) 注意・修正のためのフィードバック(望ましい状態へ転換する)
(3) 情報伝達のためのフィードバック(肯定的、否定的内容いかんに関わらず、単に情報を伝えるため)

内容で分類すると2種類あります。
(1) 肯定フィードバック(ポジティブフィードバック)
(2) 修正フィードバック(コレクティブフィードバック)

方向性で分類する次の2種類があります。
(1) 与えるフィードバック(ギビングフィードバック)
(2) 受け取るフィードバック(ゲッティングフィードバック)


●肯定フィードバック

肯定フィードバックは相手の望ましい言動を認め、肯定することで、それらの言動を強化したり、モチベーションを高めることに用います。
また、対象者とのコミュニケーションの向上と強化にも役立ちます。
肯定フィードバックのタイプは2種類あります。

Aタイプ
・ 行動を具体的に説明する
・ 自分の肯定的な考えを伝え、相手にいい感じをもってもらう
・ 「この次もこのようにやってほしい」と励ます
ポイントは、うれしい気持ち、喜んでいることを伝えます。「いいね。この資料の作り方」というように。


Bタイプ
・ いい結果をもたらしたポイントをたずねる
・ 相手の望ましい言動を要約して、まとめる
ポイントは、望ましい状態になった理由を相手からいわせることです。「クライアントがすごく満足していたけれど、どこを注意したの?教えてほしいな。」というように。
そして、「副作用の話になったときに、お客様が乗り出したのを見逃さなかったね。よく観ていた。クロージングのタイミングも絶妙だった。」と要約して、認めます。

コーチとして大事なことは、部下の成長、進歩を喜ぶことです。


●修正フィードバック

修正フィードバックは、望ましくない行動を対象者がした場合、その行動を修正してもらうために、情報を伝えるためのものです。目的はあくまでも対象者の行動の修正です。
単に怒ったり、叱ったりするのではなく、いかに相手の行動を修正できるかがいちばんのポイントになってきます。
相手の性格や能力を考えながら、上手に修正フィードバックを与えるように心がけてください。必ずポジティブなイメージを残すようにします。
修正フィードバックにも2種類あります。
Aタイプはおかしいなと気づいたとき、すぐに行うフィードバックで、Bタイプはじっくり時間をかけて行うフィードバックです。

Aタイプ
・ 日頃から心がけて、事実を観察する
・ 行動を具体的に指摘する
・ 自分の考え(なぜ、うまくいかない行動なのか)を伝え、理解を求める
・ 「沈黙」をおく
・ 望ましい状態を説明する
・ 勇気づける

Bタイプ
・ 日頃から心がけて、事実を観察する
・ 問題点のリストアップを求める(あるいは質問する)
・ 問題解決の最善策を選択する判断を促し、それを強化する
・ 行動計画を共に作り、合意を得る(5W1H)

修正フィードバックで大切なことは、個人の成長を目的とするフィードバックであることを絶えず意識することです。そして「人には厳しく、スキルには厳しく」に徹することです。


●与えるフィードバックと受け取るフィードバック

与えるフィードバックは、コーチが行うフィードバックです。
受け取るフィードバックは、「今こんなふうに指導したけれど、僕の指導方法、どんなふうに受け取った?」と相手からもらうフィードバックです。
コーチ自らフィードバックを求めてください。
自分のコーチングの仕方を軌道修正するために、相手からのフィードバックをもらうことも大事なことです。


●与えるフィードバックの留意点

・ 事実に基づき、憶測、評価を避ける
・ タイミングを考え、強制しない
・ 統一性、継続性を持ち、受け手に選択の余地を与える
・ 具体的、描写的、建設的に
話す

●受け取るフィードバックの留意点

・ 相手の話を傾聴する(途中で遮らない)
・ 相手の言っていることを受容する
・ 内容の細部(欠陥や不備)にこだわらない
・ すぐに反論、釈明しない
・ 感情的にならない
・ フィードバックに感謝する

これまでの日本的土壌では、他人への個人的言動に関して、自分の見解をオープンに、率直に伝えることに、かなりの抵抗感が生じることも事実です。

人そのものではなく、その人の言動に焦点を当て(人格ではなく)、お互いにフィードバックし合う姿勢が必要です。
そして、忘れてならないのは感謝の気持ちを伝えることです。

  
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