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交渉のコツ(2)
交渉においては、全ての「取引変数」について、十分に交渉しなかったということが、時に、大きな失敗の原因となる。交渉に臨む前には、必ず、損益に影響するすべての「取引変数」を洗い出し、それぞれの変数に対する「標準目標値」と「最低」および「最高(希望)」の取引範囲を決めておくことが成功のカギとなる。

●臨時計画と代替プラン

幅のある目標を設定したにもかかわらず、万が一、相手の希望がその範囲を超えた場合の対処方法も予めプランニングしておくとよい。


● 臨時計画

目標の幅を持たせていても、まったく予想していなかった要求を提示されることもある。
このような場合のために「臨時計画」をいくつか準備しておくことが重要になる。
例えば報酬が少なすぎるが何らかの理由で契約した場合は、他の仕事と並行して業務遂行を考える。そこで、単純作業をしてもらうアシスタントを採用することなどが「臨時計画」である。


● 代替プラン

それでも、条件が合わない場合は、どうすればよいのだろうか。条件が合わないといっても、ビジネスの場では、やむを得ず受け入れるということが多いだろう。
受注側であれば、他の仕事がない状況の場合は、どんなに条件の悪い仕事でも、ついつい引き受けてしまう。
このような事態を避けるためには「代替プラン」を立てておくことが重要になる。この代替プランとは、現在の交渉で契約できなかった場合の、代わりのプランである。
営業などの受注側であれば、他の見込客を、常に開拓しておくことであり、購買などの発注側であっても、常に代替商品やサービスを調べておくことである。
「代替プラン」が最低1つでもなければ、交渉において、非常に弱い立場になってしまう。
つまり、その時点で契約がとれなくても、困らない状況を、常に作っておくことがポイントとなる。
選択の余地のない場合には、交渉力を発揮できない。「YES」ばかりでなく、「YES」か「NO」かを選べる立場に自分をおくことが、よい交渉の原則である。

第3章 プロセス編「交渉ルートのマッピング」

1.状況のコントロール

ビジネス交渉において、有利な結果を獲得するためには、スキルと戦略プランニングに加えて、交渉現場でのパフォーマンスが重要となる。
プレゼンテーションと同様、どんなに頭で理解し、綿密に準備しても、肝心な交渉の場でパニックを起こしてしまったなら成功することはできない。
そこで、事前に交渉当日の状況を把握して、コントロールできるかが、重要課題となる。


2.交渉過程の4つのフェーズ

交渉は何気なく始まって、何気なく終わるものではない。また、自分の交渉目的は明確であるが、いきなり最初から、相手に対して「この条件なら、取引しますよ」と切り出したところで、合意できるものではない。
確認すべき事実、調整すべき条件などを、すべてクリアした上で、はじめて合意に至るものである。
ビジネス交渉の過程には、開始から終了までに、4つのフェーズがある。
これら4つのフェーズには、それぞれ異なる目的がある。
最初のオープニング・フェーズの目的は、すべてのフェーズの基となる良好な関係を作ることである。
次のテスト・フェーズでは、お互いが持つ情報や認識を確認する。
3つ目のムーブ・フェーズでは、具体的な取引条件の擦り合わせを行い、ここで、様々な説得テクニックが活用される。
最後の合意フェーズでは、最終的取引条件を明確にし、両者が合意を意思表示し、同時に、合意の内容を成約化する手続が行われる。

この4つのフェーズにおける目的を達成して、はじめて、契約が成立する。
結果として、信用がおけない取引、前提条件に誤解がある取引、交渉結果に不満が残る取引などを防ぐために、この4つの健全な交渉プロセスを踏むことが重要である。


 
オープニング・フェーズ

取引契約は、ビジネス上の約束に過ぎない。例え、ビジネスであっても、約束が必ず守られるという保証はない。
そこで、契約を締結する前提として重要なのが「信用」である。オープニング・フェーズでは、この「信用」が大きなテーマとなる。
ここで、覚えておきたいことは、交渉はあくまでも、人と人との間で行われるということである。契約は企業間で締結されるが、交渉そのものは、個々人が自分の責任と権限において行う。
したがって、ここでは、交渉テーブルに着いた相手との、個人的信頼関係が非常に重要であることを忘れてはいけない。
個人的信頼関係を築き、相手に安心感を与えることが第一の目的である。
テスト・フェーズ

このテスト・フェーズでは、これまでの準備段階で収集した、相手の情報に対する自分の認識と理解が、正しいものなのかを確認することが目的である。
どんなに完璧な情報収集を行ったとしても、状況は常に変化するものである。特に相手のニーズ、現状、要望などについて、間違った理解や解釈をベースに交渉を進めると、思うようにいかないだけでなく、取引自体が壊れてしまうこともある。
また、こちらから提示しようとする条件や提案内容についても、このテスト・フェーズで、相手の反応や許容範囲を、事前に確認することができる。
このフェーズにおける質疑応答の運び方次第では、条件提示を始める前に、適切な契約条件をお互いに推測することができる。
従って、このテスト・フェーズでの最重要課題は、質問の仕方である。

1) オープン質問で情報収集(5W1H)
2) クローズド質問で仮説検証(Yes、No。選択肢など)
ムーブ・フェーズ

ムーブ・フェーズでは、具体的な条件を擦り合わせることが目的である。オープング・フェーズで信頼関係を確立し、テスト・フェーズで全ての情報・認識を漏れなく確認したならば、ムーブ・フェーズにおいて要求すべきものと譲歩すべきものが明確に見えているはずである。
ここでは、全ての「取引変数」について、どこまで確保し、どこまで譲るかが問題になる。こちらの条件を提示し、相手に譲歩させるために、5つの基本テクニックを活用する。
その場合、こちらの譲歩を必要としない「第一次説得テクニック(感情、論理、威嚇)」を優先し、なるべく相手に動いてもらうように誘導する。
しかし、全ての「取引変数」について合意に至るためには、最終的にこちらからの譲歩が必要な「第二次説得テクニック(駆引き、妥協)」なども使うことになる。
譲歩するにあたっては、いくつかのルールがある。有利な交渉をするためには、次のルールを心得ておきたい。

1) 最初の動きは相手から
お互いの希望がどうしても一致せず、どちらか、もしくは、両者が譲歩しないと先へ進めないことが明らかになった場合、なるべく自分が先に動かず、相手に動いてもらうことが大事である。
例えば、金額について先に譲ると、金額その他の「取引変数」についても、先に譲るだろうと期待され、プレッシャーがかかる。緊迫した状態に負けず、じっくり、相手の動きを待つようにした。

2) 一歩譲った相手は、また譲る
前項のルールに見られるように、先に譲る者は、その交渉をどうしても決めたい、または緊迫した状態を早く逃れたいなど、相手に対して、気持ちで負けている場合が多い。
そこで、さらに譲歩を迫られると、簡単にまた、譲ってしまうのである。
こう考えると、早く決めたいがために、簡単に譲るのは、後々、不利になる。交渉では、散々粘り、止むを得ない場合にのみ、「しかたなく譲歩する」という姿勢が望ましい。

3)簡単には譲歩しない
やむを得ず譲歩する場合のルールとしては、簡単に譲歩しないこと。要するに、1つの条件を譲るにあたっては、相手にも、できるだけ苦労や手間をかくさせることである。
前述のとおり、一度、譲歩した人はまた譲歩すると思われる。その結果、繰り返し譲歩を求められることとなる。これを食い止めるためには、1つの譲歩を勝ち取るために、相当苦労するということを、相手に身を持って感じさせることである。

4)ただでは与えず、交換せよ
さらに、譲らざるを得ない場合は、決して一方的に譲ってはいけない。相手からも、何らかの譲歩を交換条件として求めることがポイントとなる。そうしなければ、そもそも譲歩する意味が無い。
それは必ずしも同じ「取引変数」で歩み寄る必要はない。例えば、相手の要求どおりに割引するのであれば、支払い条件をこちらの希望どおりにしてもらうなど、別の「取引変数」で埋め合わせしてもらうことも十分に考えられる。

5)譲歩は徐々に減らす
譲歩する場合、どのようにして歩み寄れば良いのだろうか?
ここでの基本原則は「譲歩量は徐々に減らす」である。合意点をだいたい定め、そこに近づくにつれ譲歩量を徐々に減らしていくことが、相手の満足度を考えても、最も効果的と言える。



●合意フェーズ

交渉の最後のフェーズは、合意フェーズである。これまでの3つのフェーズを完璧に実施してきたのであれば、ここで残された作業は、契約だけである。
ここでは、単純に、「それでは、この条件でよろしいですね」と切り出せばよいのである。
しかし、世の中には、なかなか自分で意思決定できない人が必ずいる。それは決断しないほうが、リスクが少ないからである。そのような場合は、「大丈夫です。やりましょう。お互いに頑張りましょう」と励ますなど、相手の意思決定をサポートしなければならない。

また、合意フェーズでは、お互いに誤解がないように、取引条件を言葉で確認しあい、これで決定したという意思を、はっきりと伝え合うことが重要である。
せっかく、時間と労力をかけて、ここまで交渉してきたのであるからこそ、曖昧な形で終わってはいけない。また、契約書を作成しない場合でも、合意後、なるべく早く、議事録などにて、決定内容を関係者に配布しておくことも非常に重要である。
  
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